小泉進次郎氏の素顔…元フリーターから後継者に
箔付けで“海外留学”“コネ就職”も
小泉純一郎元首相(66)が引退表明とともに後継者に指名した次男の進次郎氏(27)。俳優の長男、孝太郎氏(30)ほどには公の場に登場しなかったが、水面下で着々と世襲の準備は進められていた。少年時代から父親譲りの「勝負師」の片鱗を見せながら、フリーターや海外生活を経て、変身を遂げたイケメンジュニアの素顔に迫った。
小泉氏は25日、神奈川県横須賀市の地元事務所に一部県議を集めて引退を表明し、「進次郎を出馬させたい」と後継者に指名した。進次郎氏は「父の意を継いで厳しい戦いに挑んでいきたい。引き続き支援をお願いします」とあいさつ。父、小泉氏は「自分は27歳で衆院選に挑戦した。進次郎も27歳。しっかりやれるはずだ」と語ったという。
各メディアはサプライズ引退として大きく報じたが、進次郎氏と長年ソフトボール仲間だという地元男性(29)は特に驚きもなく、「その時期がきたんだな」と受け止めたという。
「昨年初めの出初め式に叔父の正也氏(=小泉氏の弟で地元秘書)に代わって出席するなど、後継への布石を打っていた。跡を継ぐことは地元では公になっていた」。今年初めに「選挙出るの」と声をかけると、「まだ早いですよ。時期が来たら」と答えたという。
地元小学校の校長は「昨年秋の運動会に小泉元首相と来て大騒ぎになったが、周囲は『進次郎君に地盤を引き継ぐんだ』と公然と話していた」と語った。
幼なじみの男性(28)は「根っからのスポーツマンで、今でもソフトボールチームに顔を出したり、ジムに通ったり、マラソンに出る肉体派。父親が首相になったころから本人も後継者を意識していたんじゃないか」と振り返った。
【苦肉の策「海外留学で箔」】
孝太郎氏と甲乙つけ難いイケメンだが、近所では「兄弟とも母親似」といわれた。近所の主婦(51)は「おっとりした孝太郎君に対して進次郎君はしっかりしていた」と話し、こんなエピソードを披露した。
「私の息子はソフトボールが得意じゃなく、やさしい孝太郎君は打ちやすいボールをわざと投げたが、進次郎君は勝負に徹するタイプで、手加減することがなかった。こんなところが父親に似て『純ちゃんの後継者は進次郎君じゃないか』といわれてきた」
地元では早くから後継者とみられたが、成人になっても、えりが伸びただらしないTシャツを着て人前に出ることも。「本当に(後継者は)進次郎で大丈夫か」と家族会議まで開かれたという。だが、そこで出たのは「孝太郎も役者として乗ってきたことだし…」という意見。
最終的に導き出されたのは、進次郎氏を海外に出して箔を付けさせる苦肉の策だった。
【米でコネ就職、跡継ぐ決意】
進次郎氏は大学卒業後、フリーターをしながら英語を学び、米名門コロンビア大に留学した。その後、ワシントンのシンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)に補助調査員として就職した。
CSISはクリントン、ブッシュ両政権の元幹部が勤務するほか、日本から官僚が出向する日米両政府と緊密な関係にある。小泉氏と旧知の米国家安全保障会議アジア上級部長だったマイケル・グリーン氏がCSIS日本部長に就任しただけにコネ就職が取りざたされた。
政治評論家の有馬晴海氏は「(現職首相の)小泉氏の息子というのは受け入れ側にとって非常に(メリットが)大きいことを考えると、コネと考えるしかない」と指摘。「小泉氏がいちいち関与しているとは言わないが、小泉家が戦略的に進次郎氏を再生させる道をつくり、それが成功したといえるだろう」と分析する。
昨年5月、CSISを訪れた自民党の西村康稔衆院議員は「さわやかな好青年という印象。現場の段取りを仕切っていて、父親のような激しさは抑えていたが、弁舌明快な物言いはうり二つ。『次の仕事は若いヤツでやれ』という父のメッセージを受け止め、跡を継ぐという決意の硬さが感じられた」と語った。
日本の政治家がCSISを訪れるごとに進次郎氏が現れ、「できる小泉後継者」を演出する場面が現出したのだ。華麗な変身を遂げた次男に世襲の道が開かれた瞬間だった。
進次郎氏は昨年、米国から帰国し、小泉氏の秘書に就任。精力的に地元の会合に顔を出すなど、地盤固めを進めてきた。
地元では「名門小泉家では世襲は自然」という支持者がいる一方で、「次男のウワサは全く聞かない」という声も多い。ある会社員(38)は「小泉さんは地元のお飾り的なヒーロー。誰が後継者になろうと関心はない」と話す。
小泉氏と進次郎氏は27日、支援者を集めた会合で正式に後継を表明する。小泉人気に乗って難なく4代目政治家となるのか。世襲を潔しとしない逆風のなか、父親と同じく初選挙で落選の苦汁をなめるのか。間もなく火ぶたが切られるであろう総選挙で答えが出る。