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腰痛・肩こり・外反母趾・腱鞘炎などでお悩みの方に賢い整体マッサージの選び方をアドバイス

東京新報

「民間療法に潜む、大きな嘘と罠」 記事元:ペインクリニカルセンター

 現状では、「無資格で思い立ったその日から誰でも出来る。」状態の民間療法が、野放しのような状態になっております。それを良いことに、「何でも治る。」などという誇大な宣伝をして困っている患者さん達を結果的にはペテンにかけるような事件が起きてきております。近年では、指圧、マッサージの国家資格免許を持つ有資格者にしかおこなえないはずの分野に堂々と無資格者の方達が入り込み、指圧、マッサージが民間療法の中で堂々とおこなわれるまでになってきているのです。(無資格者がおこなっている整体やカイロなどの治療院内でマッサージや指圧の真似事が、当たり前の行われるようになっています。驚くべきことに、近年ではマッサージを教えると称する無資格者の方が作ったスクールまで出てくるような始末です。(本来は、厚生労働省の認可が必要なのは言うまでもありません。)

とどまるところを知らない常軌を逸した違法行為の常習化に対して我々有資格者は、なす術も無いというのが現状です。いくら国に抗議しましても、おざなりな対応しかしないために、法律が全く守られていないのが現状です。また、次々と新手のものが現れては闇に消えて行くというような民間療法の状況では実態が全くつかめない状況にもあります。これでは、行政も動きようがないということも確かにあるとは思うのです。しかし、国民の健康を守る義務があるはずの行政のあり方が今のままでは、民間療法による被害が増えることはあっても決して減ることは無いと言わざるおえないのです。どこかの時点で、政治的な大英断を下さない限りはこの問題は永遠に解決しないと思うのです。

また、民間療法を無資格でやっている連中の中には、「昭和35年の最高裁判決で”
マッサージの法律は憲法の職業選択の自由に反する””健康に害を及ぼすおそれがなければやっていい”事になっているので、資格が無くてもやっていいんです」と強弁する者がいます。
しかし、事実は、最高裁では最終的な判決は下さないまま、高裁へ差し戻しています。そして高裁では結局有罪になっているのです。
一般の方々が、そこまで詳しい話を知らない事を良いことに、訳の分からぬ屁理屈を並べて理論武装したつもりになっていると言うのですから呆れた話なのです。

こうしたでたらめな状況は特にこの30年位の間にエスカレートの一途を辿っています。特に酷い例としては、20年程前でしょうか、TVの番組に中国の気功師と称する女性が頻繁に出演し気功でも難病でも何でも治してしまうような誇大な宣伝をしたことがありました。民放の朝のワイドショーの中で連日取り上げたために大きな社会現象にまでなってしまいました。しかし、結局は、ただ只単なるやらせによる「詐欺事件」でありTV局も気功師も訴えられ裁判になるという大事件がありました。

大変な事件であったということは知っていても、まさか直接被害に合った方にお会いするとは私も思ってもいなかったのです。世間は広いようで狭いものでして、以前その気功師の女性に直接治療を受けたことがあるという、慢性の関節リウマチで苦しんでいらっしゃる患者さんを治療させていただいたことがあるのです。その方もしみじみおっしゃっていました。「今思い出しても、本当に腹立たしく強い憤りを覚えます。TV番組であんなに大々的にやっていたから私もすっかり信用して大金を払ってしまったんです。結局は治りませんでした。騙されたんですね。」と。病気で困っている方達の足元を見る様なこうした卑劣な犯罪が無くなってくれることを祈るのと同時に、我々医療に関わる者達が真実をしっかりと伝えて行く重要性を強く感じる出来事でした。

どうぞ、皆様も「行って見よう。」と思われる治療院がございましたら、自分を診てくれる直接の先生が日本国の国家資格免許を持っている医療従事者なのかどうかを必ず確認することを忘れないでいただきたいのです。
また、異常に高すぎる治療代、異常に安すぎる治療代も、治療の中味や治療院の立地条件、働いている従業員の数、世間の評判から類推して、不自然に感じる時や胡散臭さを感じる時は、近づかない方が賢明だと思います。

また、マスコミなどでよく紹介をされているから良いものだと頭から鵜呑みにしないでいただきたいのです。御自身の力で、なるべく多くの客観的なデータを集める努力をなさるようにしてください。特に、「曲がっている、歪んでいる、ずれている」というような言葉を使って盛んに患者さんを説得にかかるような治療方法は要警戒です。曲がって、ずれて、歪んでいるのは極自然なことであって定規で測ったように真っ直ぐな人など最初から存在するわけがないのです。
どれだけ曲がって、歪んで、ずれているといけないのか、誰にでもあてはまる診断基準などあるのか、個人差はどうするのか、と少し考えただけでも矛盾だらけの話なのです。それを痛みの根拠にしてしまったら生きている人は全て、特に高齢者の方は、痛みでのた打ち回って病院が彼らで溢れ返ってしまい困り果てた状態になってしまっているはずです。そんな話を聞いたことがあるでしょうか。また、少し曲がったり、歪んだだけで痛みを発するような軟な肉体であったなら、この過酷な地球環境下において、何百万年以上にも渡ってホモサピエンスがここまでの繁栄を手にすることなど出来るわけがないのです。いかに現実を無視した、バカげた話であるかということを知っていただきたいのです。

また、よく人から「あの治療院良いから、騙されたと思って行ってごらんなさいよ。本当に良いから。」と言われる機会があるかと思います。しかし、当院にいらっしゃる患者さんの中にはその言葉を信じて行ったら、本当に騙されてしまいました。という笑うに笑えない状況に陥ってしまっている方が沢山いらっしゃるのです。人間関係が壊れるのを恐れて人知れず悔しい思いをされている方が沢山いらっしゃるという現実を知っていただきたいのです。善意の気持ちが悲劇を招いてしまっている場合もあるのです。自分が当たったからと言って人に宝くじを買わせてその人も当たるとは限りません。実は、それとほとんど同じ次元の話の中で起きている事件なのです。

行かれた方のお話をうかがいますと、ほぼ全てが、上記にありますような「曲がってる、ずれてる、歪んでる」の類の民間療法を受けた方達なのです。

民間療法の中によくあるものは、「訳が分からず関節をいじり回すと一時的に痛みが消える事もある。」と言うだけの関節をいじる事によってたまに起きるマジックの成功話を信じたが故の悲劇と言わざるおえないのです。
関節に人間の感性で制御出来ないような大きな力を瞬間的に加えるような治療方法は特に危険です。壊される時は一瞬ですが、最悪の場合は一生涯苦しむような障害を負わされないとも限らないのだということを決して忘れないで頂きたいのです。


関節を適当に動かせば矯正できるなどと思っていること自体が幻想であり、技術だけで人が治せると思っていること自体がとんでもない思い上がりであるということを人の体の治療に関わる者はもっと自覚すべきだと思うのです。民間療法が問題なのは、それ以前の法的、医学的な多くの問題が未解決のまま存在していることにあります。また、正規の医学よりもはるかに優れているようなでたらめな誇大宣伝をしても強制的に治療院を閉鎖させることが出来ない状況にあることも、何も知らない一般の方々を被害に合わせてしまう機会をますます増やす結果となっているのです。

世界的に見ても、少なくとも先進国と言われる国において今の日本における民間療法のあり方は、極めて異常な事であり「無資格者による人権侵害行為が堂々と商売にされ野放しになっている。実に野蛮な国だ。」と嘲笑されても仕方のない状況にあることだけは確かなのです。


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